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Ecology House&Life

暑さ対策が必要な熱帯の国々の家づくりは、軒先が長く取られ、形状で暑さ対策を取る建物が多いのが特徴です。反対に寒さ対策が必要な寒冷地の国々では、建物の断熱性や気密性を高めて、熱が逃げるのを防ぐ性能重視の建物が多いのが特徴です。しかし、日本はその両方の特性を持った四季折々の気候風土があります。蒸し暑さと乾燥した寒さがあるため、冬だけでなく、夏のための断熱対策も必要な世界でも珍しい特性を持つ国であり、家づくりになります。

太平洋の高気圧の影響で日本の夏は高温多湿状態になります。エジプト並みに暑く、アマゾン地域ほどの湿度があるのは世界でも日本ぐらいなのです。

日本の冬の湿度は低く、気温は0℃前後になる厳しい環境です。寒さ対策がなければ、血圧が下がり健康にも影響が出てきます。

Development

Development 01

昔の家は寒さや暑さが今ほど厳しいものではなく、且つ自然素材で家づくりをしていたため、断熱という考えがありませんでした。そんな日本の家も高度経済成長と共に工業的な家となりましたが、この時代の建築当事者や住まい手にも「断熱は不要なもの」だという認識がまだまだありました。次第に夏の暑さや冬の寒さに悩むようになりましたが、我慢して暮らすことが多く、建築会社にも断熱知識やそれを求めるニーズが生まれませんでした。

現代では夏は35℃を超える日が続き、冬は乾燥した寒さがあります。熱中症のリスクや高血圧やヒートショックなどの健康面への影響がニュースになり、生活における大きな問題として取り上げられるようになりました。高気密高断熱に関する建築知識も広がりを見せ、国の基準設定と共に日本の家はある程度高性能化されてきましたが、まだその取り組みや法整備、実際に建つ家の断熱性能は十分だとは言えません。

隙間も多く、断熱性も低いため寒い家。夏は日差しを遮るなど知恵で快適にしていた時代の家づくりです。

旧省エネ基準制定により断熱材が使われ始めるが断熱不足・気密不足により暑い・寒い・結露の問題が多い

新省エネ基準制定により断熱材が10㎜厚くなるが断熱不足・気密不足により暑い・寒い・結露の問題が多い

次世代省エネ基準が制定され断熱性が向上するも先進国では最も低い水準で、各問題は解消し切れていない

Development 02

高度経済成長を経て、日本は様々なものが先進的に開発されとても便利な国になりました。しかし、住宅においては戦後間もない頃からそう大差のない家づくりが繰り返し行われてきたことをご存知でしょうか?断熱性における法整備は先進国各国から大きな遅れを取り、ようやく2025年に現在の断熱性能等級4が義務化となる予定であり、2030年には一段階上の断熱等性能等級5が義務化となる予定です。実は、それでも各国の基準よりも最低基準がそもそも低く設定されているのです。

Development 03

なぜ先進諸国では断熱性を重視した家づくりがなされているのか?それは気候風土もありますが、住む環境で「健康を守る」ということは基本的人権の保障に不可欠だという考え方があるからなのです。日本の家のほとんどが、真冬の無暖房であれば室温が10℃前後になります。しかし各国を見ると、健康に影響なく暮らせる範囲だと医学的に証明されている18℃前後になるように家づくりが進められています。室温と健康には大きな関係があり、寒い環境に住むことは血圧に影響を与えて、様々な体調不良を引き起こすことがわかっています。

Development 04

低断熱な状態は、人の健康だけでなくエネルギー、そして住む建物そのものの耐久性にも大きな影響を与えます。断熱不足があれば、結露によるカビの発生、構造材の劣化、シロアリ被害の増大を引き起こし、建物が住み続けるだけの安全性を保てなくなる事態につながってしまうのです。適正な断熱と、快適な室内環境を生み出すことは、住む人の心と身体(命)と資産面で重要なことなのです。

暮らしの中にあるたくさんの悩み、それは温度に関係していることが意外と多いのです。暑い・寒いをはじめとして、冷暖房している部屋だけが快適で部屋の移動が苦になったり、結露でカビが出たり、光熱費を気にして生活したり、なんだか身体がだるくなってしまったり…。断熱性能が高い家は、そんなあなたの暮らしの悩みをガラッと変えてくれるのです。

年中快適に
暮らすことができる

足元が寒いなどの
生活のストレスが減る

結露をなくすことで
カビなどの発生を防ぐ

建物の寿命を
長寿命化できる

室内で多い熱中症を
防ぐことができる

死亡するリスクがある
ヒートショックを防げる

少ないエアコンで快適
省エネ効果が高まる

わずかなエネルギーで
環境に優しい暮らしになる

断熱材と一言で言っても、原材料は様々な種類があります。ガラスや鉱石を繊維状にしたものや、化学素材系のもの、天然素材系のもの、それぞれで性能の違いやメリット・デメリットがあります。家の健康寿命を長く保つということを考えた場合、断熱性能だけではなく、その素材の持続性も含めた総合的な機能に着眼していくことも必要です。防火性や蓄熱性はもちろんのこと、もしもの火災時に有害な物質を出さないか、また廃棄の際に環境に与える負荷が少ないかどうかなども大切になります。

Proposal

断熱材は、家の蓄熱‧調湿‧吸⾳‧住宅寿命など様々な観点から住宅に⼤きく影響を与えます。必要な性能や効果はどれも向上されてきていますが、素材の安全性‧持続可能性‧環境性において、⾃然素材を原材料とする断熱材は⼤きく注⽬されてきています。既に欧州をはじめとするエコロジー建築先進国では、断熱材シェアのおよそ10%は自然由来の再生可能な断熱材となっています。⽇本においても脱炭素に向けて建築の⽊造化が急速に進む中、持続可能性の観点においても優れている⽊の断熱材が多く選ばれ始めているのです。⽊繊維断熱材を使った家の住まい⼿も、⾃然素材の断熱材でしか感じることのできない室内の快適さを実体感された声が続々と届いております。ぜひ、その魅⼒に触れてみてください。

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