Interview #03 │ 資産価値のある建築を地域工務店とつくる

2008年の創立前から、住宅は地場産業の一つであるという認識を持ち地域に根差した工務店の支援に取り組んできた、愛知県の株式会社ウッドライフ。次世代の住宅のあるべき姿を見据え、地域工務店にとって確実にプラスとなるエコロジー建材の普及に力を注いでいる。なぜシュタイコのような持続可能な建材の取り扱いを拡大してきたのか、代表を務める太田信之さんに話を伺った。

株式会社ウッドライフ

代表取締役

太田 信之 氏

愛知県常滑市で2008年に創立の建築資材・建材販売会社。培ってきたノウハウや信頼、そして自身のアイデアと創造力で地域工務店をサポートし続け、工務店の持つ悩みを一つひとつ解決・共有することで工務店同士の繋がりを強めている。

「まずは体感できる場」として自社新社屋への採用

廃棄物の処理費用は、今後ますます高騰が予想されます。こうした中で、住宅の一次取得層である20~30代の方々が、将来家を購入しリフォームを行う際に、廃棄物処理のコスト負担を軽減する方法を建材販売店として提案したいと考えています。
20年後、30年後にも通用する性能の建築、サステナブルであり最終的には土に還るということをテーマに、木繊維断熱材を含め「木質建材を使えばこれだけ良いものができる」というのを知ってもらえる、資産価値のあるものを体感・体験して伝えてもらえるきっかけとなるよう、自社新社屋にもシュタイコベースを使用しました。 残念ながら大賞とはなりませんでしたが、第8回エコハウス対象の奨励賞をいただいたこの社屋では、夏場は冷房が付いていない時でもじめじめとした湿気を感じることはなく、冬は暖房一台で広い空間が暖まることを社員全員が体感してお客様に提案しています。

地域貢献に繋がる「資産価値のある家」

住宅は地場産業なので、地域工務店をハウスメーカーとどう差別化していくのか?どのようにサポートしていくのか?また地域に貢献できるか?を考えたときに出した一つの答えが「木質」で、資産価値のある家を残すことだと。いいと思うことを愚直にやっています。だから、木質建材による家づくりをしていれば断熱にもシュタイコを使う、というのは至ってシンプルなことなのです。

ヨーロッパの「今」を日本のこれからに

現在、私たちが推進しているのは、環境負荷を低減しつつ資産価値のある住宅を提供する仕組みの整備です。現場で求められる精度の高い施工、コスパ問題、そこにしっかりと説明やフォロー、レクチャーを行うことがとても大切だと考えているからです。例えば、自然素材のみで構成する外構デザインのサポートは既に多くの顧客から高い評価を得ています。また、吹き込み断熱材であるシュタイコゼルの施工を内製化する仕組みも好評です。これにより、工務店が取り入れやすいコストパフォーマンスの向上と施工精度の安定化を実現することができました。 恐らく20年後に日本でも住宅の建築基準になっているであろうことの一つが、ヨーロッパでは「今」当たり前で、「高いけれどエコだから木質を使う」という国民性に日本もこれからなっていくでしょう。私も実際にドイツのメーカーにも訪問しましたが、現地を知ればシュタイコを使うことに否定的な人はいないと思っています。

未来に向けて愚直に、着実に

これからの時代、私たちが目指すのは、単なる建材の提供にとどまらず、「未来に資産を残す家づくり」を提案することです。それは、顧客が長期的に安心して住み続けられる住宅であり、地域社会にとっても価値のある存在となるものです。時代が進むにつれて、日本でも持続可能な住宅がスタンダードになる日が訪れると信じています。その日を見据え、私たちは愚直に、しかし着実に取り組みを続けていきます。


2023年11月に新設された、木繊維断熱材シュタイコ採用の株式会社ウッドライフ新社屋について、開設に至った経緯やそこから目指す地域工務店との繋がりなど、より詳細にお伺いした内容はこちらのikeco vol.44をぜひご一読ください。

Interview

Interview #04 │ 自然のもたらす流れの建築

有限会社もるくす建築社 代表取締役
佐藤 欣裕氏
秋田県美郷町にアトリエ「もるくす建築社」を構える一級建築士。独学で建築を学び、2012年に父の会社を継ぎ代表に就任。スイスやオーストリアのサスティナブル建築から大きく影響を受ける。 環境建築分野を中心に活動。2017年「佐戸の家」で第18回 JIA環境建築賞最優秀賞を受賞。